パレードを見ようと集まった人だかりから少し離れたところ、ボーン・ファイアの明かりの届く限界点に2人は立っていた。一人は詰まらなさそうに、もう一人は穏やかに。穴場なんだ、と自慢げに語る様子に「不良だねェ」と鼻を鳴らすのは容易だったが、相手の不快な表情を見るには少し明かりが足りなかった。ずるずると祭りの最後まで留まったのはそのせいだ。どうせならもう少し明るいところで、表情を崩してやるべきだと。そう、どうせ壊してしまうなら、しばらく付き合ってやって期待感を持たせるのも悪くは無い。
ぶどう酒か何かが入っていたらしい木箱に、それなりに体格のいい男2人が乗っているのは(色々な意味で)寒々しいものだったが、彼の言うとおり、やや高い位置からは大通りの様子が良く見渡せた。どこからどう集まったのかと首を傾げたくなるほどの観衆がわめく声に、負けじと掻き鳴らされる珍しい楽器、魔術を賦与したのか錬金術を応用したのか、紅、黄金、紫紺の炎が舞い、その中を縫うように進む、英雄たちを模した衣裳を着付けたパレード―――いつどういう状況で知ったやり方だか、掘り返してやるべきだろうか―――嫉妬深い女のように?自分の想像に頭痛を覚え、彼は偽りの指で眉間を押さえた。それはもしかしたら相手の傷を抉るものになる問いではある、しかし同時に、妙な勘違いをさせる可能性すら持った諸刃の剣だ。そこまでサービスしてやるつもりは無かった。おんな、という生き物に向き合えない男のことだ、おそらくは誰かのノロケ話から学んだに違いない。この環境が男女に与える影響は大きかろう。狭く、薄暗く、祭りの終わる寂しさにも似た気分の高鳴り。
(無駄遣いしすぎだな)
それは華美な仕立てのパレードのように、無意味で、乾いた、体の熱を奪っていくような。
そんな風なものなんだろうと、色彩が氾濫する視界でジャックはわらった。
「楽しそうでよかった」
とても無意味なものだ。無意味で、愚かで、卑下すべきもの(それはときに自らをも指している)を人々は愛し、そしてそのようなもの達を、ジャックはひたすらに愛している。
だから、隣に立つ男が、急に縮んだジャックの身長に驚いて目を瞠った隙に、その首掴んで引きよせてしまって、
「じゃあ、俺帰るわ」
そのまま木箱を下りて、人ごみに紛れたのも、全てはジャックの精神がとても捻くれているせいだった。
(もしそれでどうしても納得がいかないと駄々を捏ねるのなら、人類愛に根差した祝福だとでも言ってしまえばいい)
ぶどう酒か何かが入っていたらしい木箱に、それなりに体格のいい男2人が乗っているのは(色々な意味で)寒々しいものだったが、彼の言うとおり、やや高い位置からは大通りの様子が良く見渡せた。どこからどう集まったのかと首を傾げたくなるほどの観衆がわめく声に、負けじと掻き鳴らされる珍しい楽器、魔術を賦与したのか錬金術を応用したのか、紅、黄金、紫紺の炎が舞い、その中を縫うように進む、英雄たちを模した衣裳を着付けたパレード―――いつどういう状況で知ったやり方だか、掘り返してやるべきだろうか―――嫉妬深い女のように?自分の想像に頭痛を覚え、彼は偽りの指で眉間を押さえた。それはもしかしたら相手の傷を抉るものになる問いではある、しかし同時に、妙な勘違いをさせる可能性すら持った諸刃の剣だ。そこまでサービスしてやるつもりは無かった。おんな、という生き物に向き合えない男のことだ、おそらくは誰かのノロケ話から学んだに違いない。この環境が男女に与える影響は大きかろう。狭く、薄暗く、祭りの終わる寂しさにも似た気分の高鳴り。
(無駄遣いしすぎだな)
それは華美な仕立てのパレードのように、無意味で、乾いた、体の熱を奪っていくような。
そんな風なものなんだろうと、色彩が氾濫する視界でジャックはわらった。
「楽しそうでよかった」
とても無意味なものだ。無意味で、愚かで、卑下すべきもの(それはときに自らをも指している)を人々は愛し、そしてそのようなもの達を、ジャックはひたすらに愛している。
だから、隣に立つ男が、急に縮んだジャックの身長に驚いて目を瞠った隙に、その首掴んで引きよせてしまって、
「じゃあ、俺帰るわ」
そのまま木箱を下りて、人ごみに紛れたのも、全てはジャックの精神がとても捻くれているせいだった。
(もしそれでどうしても納得がいかないと駄々を捏ねるのなら、人類愛に根差した祝福だとでも言ってしまえばいい)
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