less題・1つ数tweet程度の長さ



artless (無邪気) ― 盛大に負ける前フリにきづかない

「オラ勝ったぞ平伏せクソ共ォ!」
高らかかつ品のない勝利宣言と共に立ち上がった男は鼻を得意げに鳴らし、イスを蹴倒さんばかりに勢いよく立ち上がった。舞い散るカードを拾う子供を含め、ゲームの相手であった全員を容赦なく見下す姿は大人げないを通り越して無邪気ですらあった。つまりは、
(…皆でわざと勝たせたことに、気づいてない………)
子供にも同情の瞳を向けられる程度の、バカである。


bloodless (血の気のない) ― 証拠品も相方も燃やせない

癒着した皮膚同士は容易に離れそうになく、そもそもどこからが元の「分かれ目」であったのかを判別するには経験による想像力を駆使しなければならないだろう。あるいは、これから彼らが運ばれる元の鑑識官の様に刃物をもって確かめるか。
「うェ…」
唸るツツジの低い声に、半ば相棒と化した女が声をかける。
「あんた生焼けどころか炭にするのにこういうのダメなんですか」
「ばァか」
悪化する顔色を隠しもせずに、ツツジは死体と女から顔を背けた。
「我慢すんの嫌いなんだよォ、俺は」


brainless (能無し)― 字が汚い

ざああ、と白が舞うのを横目で認め、それでも動かない男に向かってとうとう怒鳴ったのは捜査課のリーダーを務める男であった。我慢の限界はとうに過ぎている、というか物理的な限界が過ぎているので自分でもどうにかしてくれないと自分が倒れるつまり心中でもしようか、何故か凄みのある据わった瞳に押し切られてペンを握ったツツジは、手元の書類にふとつぶやきを落とした。
「………俺…さっきこれなんて書いたんだァ…?」
後ろのデスクではまた一つ、ペンが犠牲となった。


breathless (息を殺して)― 見られたくない

「…誰も来てねェだろうな」
珍しく隠密性を重視し一人で行動しているのには訳があった。路地裏に似合わぬ浮かれた桃色はツツジの髪色に合わせて足元でふわふわと街頭の黄味がかった光に照らされている。そろり、物陰から覗く影。ツツジは慌てて身を隠すように積み上げられた金物から声を響かせる。
「なァー、今日は見逃してやるからさァ、一旦退く気ねェ?」
「…好機だと知って退くと思う?」
涼やかな男の声が愉快そうに返った。だよなァ。溜息と共に落ちた声は涙に揺れはしなかったか。
「………見てから後悔するんじゃねェぞ、俺の趣味でもねェからな」
見られたら絶対何が何でも殺そう、とツツジは心に強く誓った。路地に満ちる殺気、フリルが柔らかになびいた。


careless (不注意)―なにも考えたくない

「……」
「……」
荒野に佇む二人のガンマンもかくやと云う沈黙が落ち、轟々と耳元で血流の濁音が聞こえる頃、とうとうツツジの相対する男はさわやかに笑った。
「…なかなかいい趣味だね。やっぱりマイノリティってつらいけどさ、こうして仲間に出会えるってことは嬉しいことだと思うし、ああ、ねえ、警察止めない?それにピンクって基本だけど髪色と合わせすぎちゃ」
「だから!!お前にだけは見られたくなかったんだろうがァアア!!!!」
二人の女装男を月だけが照らしていた。
あと結局その日ツツジが燃やしたのは王様ゲームの王様ただ一人だった。どっとはらい。


countless (無数)― いらない

山が一つ増える毎に所属する場所が失われていくのが分かった。おそらく、それを残念に思う程度には、かつては何かを欲していたのだ。求められることを、あるいは求めることを。
何も必要ではないと知った時、何にも必要とされないことを強く意識した。
「そっちの山捨てていいからァ」
「はいはい、んじゃ続き頑張って。あんたの部屋物置みたいになってるんだから」
「うぇェ…」
つまりは、全部要らないのだから、これほど殺戮に向いた個体はいないのだ。
血を継ぐ者が居なくなるのは、やや申し訳ない気もするけれど。久々に見た顔に少しばかりの罪悪感を抱いて、しかしツツジはそれさえも捨てた。



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