※言い訳がむずかしいです
※ネブラさんがある意味常軌を逸した男前です






 隠していた、つもりはない。
 けれど、どんなに言葉を尽くしたところで理解してもらえないことは分かっていたので、始めから、諦めていた。
 とはいえ、さほど重荷になっていたという訳でもないのだけれど。


 私が小さな頃に事故に遭って以来、何をするにも両親は私に対してとても過保護に接する。元々、末っ子だったというのも大きな原因の一つだろう。父も母も、情に深すぎるきらいがある。家の為に上の兄に厳しく接していた反動が、私に向かってきていたのかもしれない。
 ともあれ、一人で敷地の外どころか、屋敷の外に出ることも許されなかった私が「魔道学院に通う」ことなど、彼らにとっては青天の霹靂という他ない―――大きな衝撃だったのだろう。

 「ねえ、ネブラ。お願いだから考え直して。あなたに何かあったら、わたしは到底生きていけないわ」
 「勉強ならここでだってできる。勉強なんて兄さんたちに任せておきなさい」

 そう言って私を説得しようとした彼らに、私は何と言ったんだったか。あの時は、ただ私を誘う世界のことを知りたくて、学びたくて、必死だった気がする。だから、

 「だったらせめて。あなたに魔法をかけさせてちょうだい。きっとあなたは私を恨むことになるでしょうね。でも、そうでもしないとわたし、」
「いいよ、母さん」

 彼女の魔法を受け入れたのだ。



 そうして現在に至るまで、私の秘密が明かされることは無かった。
 正確に言えば。私から明かそうとしたことは何度もあったのだが、私が「そう」である、ということは、どうも、説得力がありすぎてしまうらしい。何故だか分からないが。兄が騎士たらんと生きてきたのを傍で見続けたせいなのか、元々私には素質があったのか、知らないけども。
 一応、親友らしきものも出来たのだが、真実を明かしてみても冷めた目で「その冗談はつまらない」と一蹴されてしまった。私も彼との友情は大切にしていきたかったので、特に傷ついた様子も見せずに(というか、実際慣れすぎたせいもあって本当に傷つかなかった。自分でも少し吃驚した。)付き合いを続けている。
 なんとなく、こんな風に生きていくのかな、と思っていた。

 私の求める世界はここではなくて、ずっと前から、死の世界で。
 そこでは私が何者かなどということは、必要のない視点だった。

 だから、親友たちに打ち明けてみたときとは違って、それは戯れにしか過ぎない言葉だったのだが。

 「…え?そうなの?だったら早く言えよな、女なら戦いに連れてけないじゃん」
 「…………し、信じちゃうのかお前は」
 「なんで?嘘なの?」
 「いや、嘘ではないけれども、お前が?お前が信じちゃうのかよりによって」

 でもまさか信じるとは思わないだろうが。
 この、ネブラ・トリア・プラトゥムが。
 男ではなく、女なのだと。

 「んじゃ予定変更な。お前、俺の相棒じゃなくて、俺の女ってことで」
 「いやいやいや。柔軟すぎるだろういくらなんでも」



 拝啓、父上、母上。
 私のことを信じた初めての「見どころのある男」は、5歳も年下の我儘少年だったわけなのですが。
 一体私はどうしたらいいでしょうか。
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